交通事故や脳卒中によって脳に傷がついた場合、言語・思考・記憶・行為・学習・注意などの能力に障害が生じることがあります。生じた症状のことをまとめて高次脳機能障害と言います。
高次脳機能障害には様々な症状が含まれています。現れる症状の種類や程度には個人差があり、多くの場合、複数の症状が同時に出ています。現れた症状によっては、今までの生活を送ることに困難を感じることがあるかもしれません。目標にあわせた支援を受けたり、対処法を獲得することが必要です。
体に障害はない方も多くいます。その場合、外見からは障害があるとは分りにくく、その言動から誤解を招くことが多くなってしまいます。
自宅で身の周りのことをすることについてはそれほど問題がなくても、職場・学校・外出先等の社会的な場面で問題が生じることが多くあります。
障害の認識がない方も多いため、自分には周囲の援助が必要だということも認識できない方が多くいます。
身体障害がない方は身体障害者手帳が取得できません。
しかし精神保健福祉手帳が申請でき、取得される方が増えています。 また、障害者総合支援法の施行により、法律上は3障害(身体・精神・知的)共通でさまざまなサービスが受けられる方向に進んでいます。
しかし、どの施設どの事業所でも高次脳機能障がいに合った対応が受けられるというわけではないのが現状です。
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厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部 国立障害者リハビリテーションセンター
「高次脳機能障害」という用語は、学術用語としては、脳損傷に起因する認知障害全般を指し、 この中にはいわゆる巣症状としての失語・失行・失認のほか記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などが含まれる。
一方、平成13年度に開始された高次脳機能障害支援モデル事業において集積された脳損傷者のデータを慎重に分析した結果、 記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの認知障害を主たる要因として、日常生活及び社会生活への適応に困難を有する一群が存在し、 これらについては診断、リハビリテーション、生活支援等の手法が確立しておらず早急な検討が必要なことが明らかとなった。
そこでこれらの者への支援対策を推進する観点から、行政的に、この一群が示す認知障害を「高次脳機能障害」と呼び、 この障害を有する者を「高次脳機能障害者」と呼ぶことが適当である。その診断基準を以下に定める。
MRI、CT、脳波などにより認知障害の原因と考えられる脳の器質的病変の存在が確認されているか、あるいは診断書により脳の器質的病変が存在したと確認できる。
なお、診断基準のIとIIIを満たす一方で、IIの検査所見で脳の器質的病変の存在を明らかにできない症例については、慎重な評価により高次脳機能障害者として診断されることがあり得る。 また、この診断基準については、今後の医学・医療の発展を踏まえ、適時、見直しを行うことが適当である。