ご挨拶
公益財団法人いわてリハビリテーションセンター 理事長 大井 清文
岩手県は脳卒中の死亡率が高く、また超高齢化社会の到来に向けたリハビリテーションの需要増加に対応すべく、岩手県は昭和63年に高度のリハビリテーション専門機関の設置を決め、具体的には岩手県の県北にある県立二戸病院にリハビリテーション科を、県央にある雫石町にいわてリハビリテーションセンター(新設)を、県南にある県立大東病院にリハビリテーション科を設置しました。
その中でいわてリハビリテーションセンターは、平成5年10月に運営を開始し、高度で最新のリハビリテーション医療の提供と地域リハビリテーションの推進、学生ならびに専門職の教育研修および研究開発の4事業の推進をミッションとし、岩手県が設置し、公益財団法人いわてリハビリテーションセンターが運営する公設民営の機関として現在は活動しております。
当センターが対象とする患者さんや利用者さんは、広範囲にわたりますが、どの方も当センターに関わることになったきっかけは、大きな相違はありません。そしてその思いも、また共通点がございます。従って以下に、当センターの名誉理事長である、高橋 明先生が述べてこられた言葉を掲載し、その思いを継承しながらこれからも県民のために、全力で頑張って参りたいと存じます。
「ご自分の体が、ある日、ある時、突然、不自由になる。今までは難なくできていたことが、なんとしてもできない。このような状況に陥った方々の衝撃はいかばかりでしょう。人生初めての経験にとまどい、嘆かれるのはご本人だけではありません。
今までの生活は、社会活動は続けられるのか?
これはいつ、どの程度回復するものか?
負担はどうなのか?
この先どうすればいいのだろう?
ご家族も周囲の方々も先行きへの不安でいっぱいです。
成る程、もとのとおりに修復できれば問題はあらかた解決するわけですが、現代医学でもなお修復困難な事態が根底にありますので悩みは限りないものとなります。このようなときに取りあえず必要となる処置はさまざまです。して欲しいことも実に多岐にわたります。なすべきこともヤマほどあります。
いわてリハビリテーションセンターは、ケガや病後に遺った運動機能障がいをはじめ、これが惹き起こすさまざまな課題に対応すべく、岩手県が平成5年、岩手県医師会、岩手医科大学、市町村会のご協力のもとに設置した施設です。私たちは、真に障がいの克服という“治癒”をめざして事業をすすめております。訓練治療や生活機能の再構築は対策の中軸ですが、一方でご家庭や所属する社会におけるありようの再構築もまた私たちの関心事です。そして何よりもまず、我が身ならばどうして欲しいかとの立場から、障がいに伴って生じる困惑と不安の解消をめざすよう努めてまいりたいと考えております。」